「いだてん 〜東京オリムピック噺〜」強く生きる女性の道 【e22 ヴィーナスの誕生】
いだてん、今回は第22話 「ヴィーナスの誕生」について書いていきます!
※少しだけ第23回「大地」の内容も入っています。
前回、いだてん第10話「真夏の夜の夢」という記事も書いています。ぜひご覧になって下さい😃
あらすじ
東京府立第二高等女学校では、四三(中村勘九郎)の熱血指導によって女学生たちがスポーツに打ち込んでいた。教え子の富江(黒島結菜)たちは全国的なスポーツアイドルとなるが、その前に日本女性離れした見事な体格の人見絹枝(菅原小春)が立ちはだかる。四三の指導を手伝うシマ(杉咲 花)も大きな悩みを抱え、それをスヤ(綾瀬はるか)に打ち明ける。一方、真打昇進を果たしてもすさんだ生活を送る孝蔵(森山未來)には見合い話が舞い込む。
金栗四三と女子スポーツの普及
オリンピックを終えた四三はドイツで女子がやり投げをする姿に驚きました。女子スポーツをなめてかかっていた四三。日本に帰ってきて、女子スポーツの普及に尽力し始めます。
最初は赴任先の竹早の生徒にスポーツなどしたら「お嫁にいけませんわ」と全否定されてしまう四三。
四三の顔を立てるために一回だけでいいからやりを投げてほしいと頼まれた生徒たちはそこからスポーツの楽しさを知っていきます。
黒島結菜さん演じる富江さんの「くそったれ!!!」は胸にジーンときました。
ドイツ人の女性も叫んでいた「くそったれ!!!」。
女学校を中退してお嫁に行くのがその時の女性の「普通」とされていた道。卒業するのは恥だとされていた時代。
そりゃ「くそったれ!!!」っていいたくなりますよね。
いだてんに三島天狗の母親役で登場していた白石加代子さんのツイートをみていただきたいです。
録画した #いだてん 21回を拝見。「くそったれ」投が放たれる度、わけもなく涙が出ていました。どんなにマシになったと言っても女性はいまでも色々な場面で「くそったれ」と叫びながら理不尽を噛みしめることがあります。それでも強く美しく変わろうともがく女性がとても愛おしい回でした。
— 白石加代子広報スタッフ (@hyaku_shiraishi) 2019年6月3日
シマさんも嬉しそうな顔していましたね😌
ずっと走りたかったけど隠れて走らなければならなかったし、三島天狗や四三をそばで見ていただけあって一番思いの強い女性ではなかったでしょうか。
私の個人的な考えなのですが、「シマさん」ってたくさんいたと思うんです。シマさんと同じような思いを持っていた女性たちが。
今とリンクする「おんならしさ」
陸上大会で靴のサイズが合わなかった竹早の富江さん、靴下を脱いでしまいます。だってそっちのほうが走りやすいから。それだけの理由です。
なのに、それだけなのに、新聞記者はその素足があらわになった姿の写真をたくさん撮るんです。
その大会で富江さんは3つの日本新記録を出します。
しかし、注目されるのは「日本記録」ではなく「靴下を脱いだこと」。
町で美川に写真を売られているところを父親に発見され、学校にどういうことだとやってきました。
富江さんはただ「邪魔だったから自分の意思で脱いだだけ」。
なのに責められてしまうのです。
「竹早の名前に傷がつきます。」
「足を丸出しにする何ぞ、もう嫁には行けんぞ!」
「みっともない!」
それに対して、四三は
「おなごが足を出して何が悪かね。男子は良くて女子がいけない、その理由をばお聞かせ願いたい!」
富江さんの父親に
「好奇の目にさらされるからだめだ」と反論されますが、
四三「そりゃ、男が悪か!!女子にはなんの非もなか!女子が靴下をはくのではなく男が目隠しばしたらどぎゃんですか!!」
「脱いだおかげで娘さんは日本一になったとですよ!なんしそこを褒めてやらん!そこばなんしほめてやらん!よくやった、ちゅうてほめてやってから、その後の靴下云々の話を家でやってください。」
「あんたらが、、あんたらがそぎゃんじゃけ、女子スポーツはいっちょも普及せん!いつばってん、ヨーロッパには勝てんとです!」
今だって、肌を出すだけで、女が悪いって言われる。
痴漢やセクハラされたとき「女が肌を出すからだ」「そんな恰好するからだ」と言われることがあります。
なにも変わってないんです。そう感じてしまうんです、わたしは。理不尽で違和感しかない。意味がわからない。
竹早の生徒たちが立てこもった時も「おんならしさがない!!」といわれるし。それを言うのが女教師だし。
女性が女性自身で価値を下げてほしくない。
おかしいといってもなぜかかき消されてしまう。おかしいって思っても口に出せない人だっている。
「おんならしさってなんですか」
「おんならしさってだれが決めたんですか、男でしょ。」
「でしたら、男らしさも女に決めさせるべき!」
「たかが靴下脱いだくらいでガタガタ騒いでるトンチキな文部省もそれにビクビクしてる先生たちも、てんで男らしくない!!」
もう私うなずきが止まらないんですけど!
「反論、わたしはないです」と言い切るシマ先生のまっすぐな目。
「女の体は男が思ってるほど軟じゃありません!」
シマさん
シマさんも妊娠したことを夫さんに言えずにいました。教師としてまだまだなこと、結局何も成し遂げてないんだと不安を抱えます。
そんなシマさんに「でかしたーーーー!!!!ようやった!!!!」と四三は喜ぶのです。私がシマさんだったらめちゃめちゃ嬉しいです。肯定してもらえて。素直にあんなに喜んでくれる人がいるんだと。
一方、二階堂トクヨ先生は
「女子体育と心中するのを決めたのです!!」
「私がやらねばならない!!!!」
といった様子。😌
代々木に日本女子大学となる、学校を創立します。
その一歩、どちらも素晴らしいと思いました。
シマさんは、日本初の女子オリンピック出場する「人見絹枝」に目を付けます。
彼女はスポーツより文学が好きな女性。身長170cm。みんなに「男みたいだ」と言われていました。
「勝っても嬉しくない、でも手は抜けない。また、かってしもうた。」
彼女も世間の目に悩んでいました。
しかし、並はずれた身体能力、これからどう話が展開していくのかとても楽しみです!
100年後に何を思うか
ここからは個人的な考えです。深くとらえないで下さいね。
100年前女性たちが非難されたことを非難されずに生きている私たちがいる。
100年前の女性が行動したから。
変えたいと思ったから。
100年後の女性がどういう価値観で生きていくのか道をつなぐのは私たちだと思ったりもします。
ただ私は女性と男性が平等に生きる世の中に。ただそれだけ。
平等に生きたい。
理系の女は「リケジョ」。
その言葉を浴びせられるたび、すごいねと褒められるたび、違和感しかなかった。
「リケダン、ブンジョ、ブンダン」そんなの聞いたことない。
理系の女だけ。
医学部受験で点数操作をされる人だっている。
好きな学問を選択して何が悪い。
「くそったれ!」
叫んでやりたかった。
100年後の女性たちにそんなことで悩んで欲しくない。もっと夢のこと、やりたいこと、恋のこと、そういうことで悩んでほしい。
いだてん 第22話を観て、
【100年後】の女性たちがどう生きているか、どう生きて欲しいか、
私はそればかりが頭に浮かびました。
そうすると竹早の女学生の気持ちと言葉が胸をえぐり、シマちゃん先生のような強く願い戦う女性がたくさんいたんだと、強く感じることが出来ました。
四三の言葉が胸を打つ。優しくて、たくましい、その言葉が私の心を少しずつ救ってくれた気がする。
四三は理解してくれている。というか、脚本の宮藤官九郎さんはじめ、大河スタッフの皆様に 救われた。理解されたいと願う心が割れないように温めてくれた。
本当にありがとう。
そして100年後の女性に何を望み、どう生きて欲しいか、考えるキッカケをくれて本当にありがとう。
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